12A猫で学んだこと-Memoir-

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私と人狼 -人狼のある日常風景-

私と人狼 -人狼のある日常風景-

佐藤 美樹 (25) 

 

木曜日の夜、午後11時、飲み会で遅い彼の帰りを待ちながら 台所のテーブルでパソコンと向かい合って、るる鯖12A猫をプレーする。 あたしの役職は霊能、霊能の役職は好き。 霊能は判定役になれるから。狼の位置を推理するのが面白い。 真占いが誰かを考えるのが楽しい。

 

2日目の朝、白展開、2-1グレラン、霊能CO1、占い候補者は2人とも霊能者の自分に○ "グレランでー "と発言を入力、他の人の発言ログをみる。

玄関の方で音がする。彼が帰ってきたみたい。

「ただいまー、あ、人狼やっているんだねー」

 

彼が後ろからディスプレイを見る。 少しだけアルコールの匂いがする。お酒が苦手なのに飲んできたのかな? 勤め人の付き合いは大変だ。

「あー、この人、狼かなー」彼が1人のアイコンを指さす。

どうしてかな? 自分はこの人は無色に見えるけど。

「ただの直感だよ。印象だけだよー あ、お風呂ありがと、入ってくるよー 後で自分の推理当たっていたか教えてねー 霊能頑張れー」

そう言うと、彼は浴室に向かった。

 

彼が狼だと推理したアイコンの人の発言を見返す。 5発言、占い真狼 > 真狂の予想の発言、猫は吊られそうなら出ておけという発言。 テンプレート発言で、発言数を稼いでいて生存欲を出している。 狩人や猫に見えるように偽装した狼に見える。

 

彼が●と言ったから、あたしは、このアイコンの人が狼に見えるんだと思う。 あたしは、彼の言ったことを無意識に信じてしまう。

 

決め打った占い師みたいだな、と思う。

彼を真として決め打った。 だから、彼の言うことは何でも信じる。

彼の言う通りにあたしは動いてしまう。

こんなに優しくて、しっかりしている彼が敵なんて考えない。

彼には死なないで欲しい。 狩人みたいな人がいたら、その人には彼を守りつづけて欲しい。あたしよりも、彼を。

 

占い師の盲信は駄目って分かっているのにな。

初日占い師の可能性だってあるのは分かってる。

占い師を決め打った後に色々なことを言う人がいる。

でも・・・ 『彼に、あたしの全てをささげる』

それが、あたしの決断。 悪い人達がささやく言葉は聞かない。

聞こえるのは彼の言葉だけ。

 

・・・結局、あたしは単純なんだな。 自分自身に苦笑しながら、彼の言ったアイコンの人に投票をした。

(終)

 

(フィクションの余興です。)