12A猫で学んだこと-Memoir-

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雑多な話とゲームの均衡解の例

ふとお茶を飲んでいたら、面白そうな話があったので。 元ネタはこちらの感想戦。 

No.315732「12a猫 ガチで初心者歓迎」村


この内容を考えている時に, この村のGMさんのtwitterを拝見させていただいたら、 その方も同じようなことを考えていらっしゃいましたね。 雑多な内容になっているけれど、とりあえず考えたことをメモしてみました。 あんまり内容を見返していないので、正しさは保証できないのと、 自分自身の日記みたいな内容が混ざっていますね・・・・

 

<内容のまとめ>
* 元ネタの村の感想戦GMさんがおっしゃっていたように、単純な仮定の下で5人2Wでは猫決め打ちを行った方がよいと証明できる。
* 狩人非生存5人2Wの時の村勝率は, (ある仮定の下で)5/24とみなせる。
* 猫狼2村2の昼から始まるゲームでの狼の初手は猫騙り1を出すことが最善手である。
* 実際の村では, 議論の仮定が成り立たないので、3拓グレー吊りを完全否定しない。

(細かい数値が間違っていたらごめんね.)

『5人2W 猫2CO村人2潜伏狩人1の時、猫吊りと3グレー吊りとどちらがいいのか?』

 

感想戦でのGMさんの98の発言の通り、 投票が完全にランダムで、護衛も完全にランダムだとした時、 「平和がでれば、狩人1COしかなく真が取れる」という前提だと、 猫吊りの村勝利確率は、11/32になりますね。

 

で、グレー吊りの方は、『狩人は猫又護衛をする』そして平和を出さないのが、 村の勝率を高くする最善手です。これができた時が、グレーの●吊りが出来たときの 村の勝率です。猫又護衛で平和がでた場合、真猫が確定するので、 狼は猫噛みはしません。つまり、グレーの村人 or 狩人が噛まれます。 ●吊り1/3 * (3/4) =1/4です。 グレー護衛をして平和がでると、猫狼村村となって、猫ルーの条件が悪くなりますね。

 この結果から、猫又吊りの方が良いというGMさんの結論はおっしゃる通りだと思います。

 

もう少しだけ『狼が最善手をとる』という条件付けをしましょう。
『猫又で対抗道連れが発生した時の平和が発生した場合、』
狼も狩人COで3人最終日2択が可能です。 この場合の時の、

村勝率は、 1/4+1/2*(1/4*1/4*1/2+1/4*1/2)=10.5/32 まぁ、ほとんど変わりませんね。

けれども、投票ランダムは現実的な仮定ではないと思うのです。 他に考えた方がいいと思う仮定は、 「狼は夜のうちに投票先を相談している。そして、村も狼が組織票をすること前提で投票先を決める (SGを決めておいて、そこに投票する)」です。 この仮定をおいた時の猫吊りとグレー吊りの勝率を考えてみましょう。

 

(偽猫に投票した人が1人の場合、狼はそちらを噛むという前提で議論をする.)
猫吊りの場合:
偽猫が釣れる確率, 1/4
真猫が釣れる確率, 3/4となって,
後は, 真面目に考えると複雑な計算になるので、上限を考えることにしましょう。
『猫が狼を道連れにした時、狩人が平和をだせる確率は1/2以下であり、平和がでたとしても村勝ち確定とは限らない』ので、
村勝率は1/4より大きく, 1/4 + 3/4 * 2/4 * 1/2 =7/16よりは小さいというのが概算です。 もう少し詳細に頑張りますか。
<真猫4票の場合>
このとき、狩人視点情報がないためランダムの場合と同じ (1/4*1/4*1/2+1/4*1/2) = 5/32 が猫狼道連れ + 平和のでる確率です。
<村人が真猫に投票して3票の場合> 狩人が噛まれるため狼勝ち.
<狩人が真猫に投票して3票の場合> 狩人視点村人が分かる. 対抗猫又狼が道連れになった時, 偽猫投票村人を噛むことによって, 1/2勝負にすることが狼は可能. 潜伏狼が道連れになった時, 平和が出て村勝ちしたがって, この時、村勝率(1/4*1/2 +1/4*1) = 3/8
以上より、1/4 + 1/4 * 5/32 + 1/4 * 3/8 = 24.5/64

 

グレー吊りを行うとき:
(問題を簡単にする為に、引き分け無しで同じ票の時には、どちらかが1/2で吊られるルールとします。)
グレー吊りの場合に狼が釣れる確率は、
(村側3票が狼に揃う確率)1/3 * 1/4 = 1/12
(狼に2票が集まり、そして狼視点のSGに3票が入らない確率)
<猫又がSG以外の村に投票 他の村は狼へ>1/4 * 1/3
<SGが村に投票、他の村陣営は狼へ> 1/3 * 1/4 という2通りがあるので、 結局、
(投票ルー1/2) * (1/12 + 1/12) = 1/12

つまり, 1/6で最終日にいくことができ、猫2択の際は、 投票から狼が透けているので1/6が村の勝率ということになります。

 

ということで、1/3でのグレー吊りは悪手だというのが、 シンプル仮定から導きだされる結論です。

 

だから, 5人2Wが確定していて猫2COなら 『村陣営は猫又CO者2択が正着手という結論です。』

 

さて、ここまでの議論で、
「猫又吊りを行う時、狼視点、『ランダムにする』 or 『組織票を行う』という考え方と、 最終日、猫又が票の情報を、『全く無視する(ランダムに決め打つ)』 or 『組織票の情報を考える』」 という両極端の戦略をとる(純粋戦略)をとるという前提の下で議論をしていました。 もう少し、モデルを精密化しましょう。ただ、難しくなるので、狩人非生存が確定しているとします。

 

考えるのは次の問題です。 『5人2W 猫2CO村人3の時、村陣営は猫又決め打ちを行う。 狼/猫又の戦略として、投票をどのようにすれば良いか?』

 

*猫又候補 同士は相互投票を行う.
*身内票をした時、村陣営に偽猫投票者がいた場合狼はそこを噛む。
*潜伏狼は混合戦略をとる.
1. 真猫に投票する. with probability a
2. 身内票をする. with probability 1-a
* 最終日までゲームが続いた場合, 猫又は以下の混合戦略をとる.
1. 真猫に投票した方が狼である.という戦略をとる. with probability b
2. 猫への投票は無視して、ランダムに投票対象を選択. with probability 1-b

 

* 投票の条件が同一だった場合は、最終日の決め打ちは完全ランダムとする. 

 

狼が真猫に投票した場合と偽猫に投票した場合を分けて考えると、
村の勝率は. a * 1/4 * (b * 1 + (1-b) * 1/2) + (1 - a) * ( 1/4 * 1/2 + 1/2 * (1-b) * (1/2)) となりますね。 まとめると、
1/4* a * (1/2 + 1/2*b) + (1 -a) * (3/8 - 1/4 *b) ですね.

 

aとbに関して, 偏微分を行うことによって, 関数の増減を調べることで以下の結論を得ることができます.
b > 2/3 であれば、aに関して村の勝率は単調増加, b < 2/3であれば単調減少
a > 2/3 であれば、bに関して村の勝率は単調増加, a < 2/3であれば単調減少
均衡解は, b = 2/3 または, a = 2/3であり, この時の村勝率は 5/24となる.

 

となり, この時の村勝率は5/24と考えるのが妥当であるという結論がでてきます.
狼視点からすれば、村側が組織票を2/3より重視するのであれば、身内票する方がよいという結論になりますし、 身内票を重視しないと読むのであれば、真猫に投票した方がよいということになります。 村側視点からすれば、狼が身内票を2/3以上の確率でするというのであれば、身内票を重視しないほうがよいということになりますし、 そうでないと見るなら、投票の情報を重視した方がよいということになります。 狼側か村側が a=2/3 or b=2/3の戦略をとった時、もう一方の戦略に依存せず、村勝率は5/24です.

 

完全にランダムに投票するという前提での村勝率が1/4なので, 「狼は仲間を知っている、しかし、村は『狼が仲間を知っている』ことを知っている」 ことによる狼側の利得が1/24であるということになりますね.

 

そして、 5/24という数字は, 『2W2村1猫の朝から始まるゲームを考えた時、狼は、猫騙りを1だした方が良い。』ということを示唆ししています。 猫又COが1COの場合に、シンプル仮定に基づくと村の勝率は1/4です。この数字は5/24より、大きいので, 狼は1猫COしがほうが良いですね.

 

このモデルに狩人の護衛成功の場合を入れることによって, 潜伏狩人生存下での、村勝率を求めることは、(モデルの仮定を認めた前提で)できますね。 計算がかなり大変になるので、ちょっとやりたくないです・・・ 狩人生存が確定していれば、狩人はCOすることによって、村勝率3/8にすることができるので、 この値よりも大きくなるか、小さくなるかが議論の分岐点となります。 この値よりも小さい、というのが私の予想です。 『村陣営で投票が割れた場合、狼は狼猫騙りに投票した方を噛む』という仮定と 『狩人は狼猫騙りに投票した方を護衛する』というような仮定を入れると問題の難易度としては "ちょっと面倒"というレベルになりますが、その仮定を外して考えると、相当厄介ですね。

 

1つ留意しておいて欲しいのは、実際の村で『グレーから吊りを行うのは悪い進行である』という主張ではありません。 自分が議論できるのは、あくまで「シンプルな仮定」が成り立つ世界での話です。今回の場合、例えば グレー3択の中に、「絶対狼である =狼確率1」であるような人がいた場合、そこを吊ることによって、 最終日に猫ルー3/4勝負にすることが出来ます。

 

このゲームでどういう吊り先の決定が「良いのか」「悪いのか」を議論する為には、 その地点での内訳の想定確率を意識していることが必須です。 他人のプレイヤーの進行や吊り先を否定することに対して、『証明』と思われる程度まで精度を高めている人の発言は少ないです。 印象論や結果論でしか物事を考えず、自分視点の理屈を他人に押し付けることしかできず・・・そういうプレイヤーや観戦の方の発言を見ると 悲しくなります。 人狼というゲームに触れて、嬉しいことはたくさんありました。だけれども、人間の悲しい性・・・というのを感じるのもこのゲームなのです。 そして、自分自身の醜い部分も直視しなければならなくなるのです。